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相続人を確認する(相続人調査)

遺言書がない場合は、法律で決められた「法定相続人」が故人の財産を相続します。

相続手続きを始めるには、誰が相続人になるのかを正確に確認することが必要です。
一見して法廷相続人が分かっている場合でも、遺産の名義変更や遺産分割協議で必要になるため、故人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得する必要があります
相続人の確認が不十分だと、手続きをやり直すことになる可能性もあります。

故人のすべての戸籍を取得するには、まず役所で戸籍謄本を取得します。
転籍や改製があった場合は、他の戸籍も取得する必要があるため、早めに確認しておきましょう。

戸籍の取得は窓口のほか郵送でも可能な場合があります。

相続手続きの準備を進める

相続手続きを行うにあたり、まずは故人が遺した遺産を「誰が」「何を」「どれだけ」相続するか整理することから始めましょう。

準備を進める前に確認しておきたいこと

専門家に相談するか検討する

相続の内容が複雑な場合や、不安があるときは、専門家に相談するのも一つの方法です。
たとえば、以下のようなケースで、早めに相談することでトラブルや手戻りを防ぐことができます。 相続人同士で揉めそう、意見がまとまらない→ 弁護士 相続人調査のために戸籍を収集したい→行政書士 遺産分割協議書を作成したい → 行政書士 不動産の名義変更(相続登記)をしたい → 司法書士 銀行や証券会社などで、不動産以外の名義変更をしたい → 行政書士 相続税の申告が必要か分からない → 税理士 専門家に依頼するかどうか迷った場合でも、無料相談を活用してから判断するのも一つの方法です。
どの専門家が何をサポートできるのかは、状況によって異なるため、早めに検討をしておきましょう。

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故人の遺品を整理する

相続手続きの準備を進めるには、まず遺産に何が含まれるかを把握することが大切です。そのための第一歩が、故人の遺品を整理することです。 特に、以下のような書類や手がかりを探してみましょう。 「預貯金の通帳」「キャッシュカード」「金融機関からの通知書類」
→ 銀行・信用金庫などの口座がどこにあるかを確認できます。 「不動産の権利証(登記済権利証や登記識別情報通知)」「固定資産税の納税通知書」 → 土地や建物などの不動産の有無と所在地を確認できます。 「保険証券」「保険会社からの書類」
→ 加入していた生命保険や死亡保険を確認できます。 これらを見落とさないよう、整理しながら相続に関係するものがないか丁寧に確認しましょう。
また、相続の対象とはならないものの、名義変更や解約が必要なものもあります。
公共料金、携帯電話、サブスクリプション、クレジットカードなど、契約名義を見直し、不要なものは早めに解約手続きを進めることが大切です。

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「法廷相続情報証明制度」を利用するか検討する

法定相続情報証明制度は、故人の戸籍などをもとに作成した「相続関係を示す一覧図」を、法務局で公的に証明してもらえる制度です。
この一覧図を使えば、銀行や証券会社での口座解約、不動産の名義変更などの際に、毎回戸籍一式を提出する必要がなくなります。
手続きを複数行う予定がある場合や、相続人が複数いる場合には、必要書類の準備や提出の負担を減らすことができ、手続きを効率よく進めることができます。
この制度を利用するには、「故人の出生から死亡までのすべての戸籍」「相続人全員の戸籍謄本・住民票」「本人確認書類」などをそろえたうえで、「法定相続情報一覧図」を自分で作成する必要があります。
その後、一覧図と必要書類をそろえて、管轄の法務局へ申請します。

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相続手続きで行うこと一覧

以下の項目を確認することで、その後の手続きが進めやすくなります。

落ち着いてから早めに

遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合、相続の方法や遺産の分け方が変わるため、早い段階で有無を確認することが大切です。
自宅の金庫や仏壇、書類の保管場所を中心に探してみましょう。
見つかった場合は勝手に開封せず、家庭裁判所での検認が必要なこともあります。
特に自筆の遺言書を見つけたときは注意が必要です。

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相続人を確認する(相続人調査)

遺言書がない場合は、法律で決められた「法定相続人」が故人の財産を相続します。
相続手続きを始めるには、誰が相続人になるのかを正確に確認することが必要です。
一見して法廷相続人が分かっている場合でも、遺産の名義変更や遺産分割協議で必要になるため、故人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得する必要があります。
相続人の確認が不十分だと、手続きをやり直すことになる可能性もあります。
故人のすべての戸籍を取得するには、まず役所で戸籍謄本を取得します。
転籍や改製があった場合は、他の戸籍も取得する必要があるため、早めに確認しておきましょう。
戸籍の取得は窓口のほか郵送でも可能な場合があります。

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法定相続人・法定相続分

相続において、遺言書がない場合は「法定相続人」が相続することになります。
法定相続人とは、民法で決められた相続の権利を持つ人のことです。
配偶者は常に相続人となり、これに加えて「子ども」「父母」「兄弟姉妹」のうち、故人との関係が近い順に相続権があります。
また、法定相続人には「法定相続分」という、民法で決められた相続割合があります。たとえば、配偶者と子どもが相続人になる場合、それぞれの法定相続分は2分の1ずつです。
誰がどれだけ相続するかは、家族構成によって異なります。表を参考に、自分のケースで誰が相続人になるか、どのくらいの割合になるかを把握しておきましょう。

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故人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得する

相続手続きでは、手続きに来た人が相続人であることを証明するための書類として「故人の出生から死亡までのすべての戸籍」を求められます。
必要になる戸籍は、以下の3種類です。 戸籍謄本(故人の死亡が記載されている戸籍) 除籍謄本(転籍などで戸籍から全員がいなくなった戸籍) 改製原戸籍謄本(戸籍法の改製により、様式が変更される前の古い戸籍) まずは、役所へ行って故人の「1.戸籍謄本」を取得しましょう。
取得した戸籍謄本に、「2.転籍(本籍地を移したこと)」や「3.改製(戸籍の様式が変更されたこと)」が記載されている場合は、転籍前の戸籍や改製前の戸籍もすべて取得します。
2024年3月1日から始まった戸籍の広域交付制度により、本籍地以外の役所窓口でも戸籍をまとめて請求できるようになりました。しかし、故人の出生から死亡までのすべての戸籍の場合は、本籍地への確認作業などが発生するため、取得に時間がかかることがあります。
即日の交付が難しいケースや、数日〜数週間かかる可能性もあるため、役所へ手続きに行った際に、まず初めに戸籍を取得しておきましょう。

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相続する遺産を確認する

相続内容を決めるために、故人が遺した遺産を把握することが大切です。
遺産には、預貯金や不動産、有価証券、生命保険の死亡保険金などのプラスの遺産だけでなく、借金や未払いの税金といったマイナスの遺産も含まれます。 以下のようなものが遺産としてあげられます: 預貯金の通帳、キャッシュカード 不動産の権利証、登記簿謄本 株式・投資信託・証券口座の取引報告書 生命保険や損害保険の契約書・証券 クレジットカードの明細や請求書 ローンや借入に関する契約書・返済表 税金や公共料金の督促状、未納通知書 金庫の鍵や貸金庫に関する書類 通帳や不動産の権利証、保険の契約書、請求書などをもとに、相続するもの・しないものを整理し、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。

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相続するか放棄するかを決める

相続には、「相続する」「相続を放棄する」「限定的に相続する」の3つの選択肢があります。
遺産の中には、預貯金や不動産のほか、借金などの負債も含まれます。マイナスの遺産を受け取りたくない場合は、遺産の受け取りを放棄(相続放棄)したり、限定的に相続する方法(限定承認)もあります。
相続内容を把握したうえで、今後の方針を決めましょう。
また、相続を放棄・限定的に承認する場合には、故人が亡くなったことを知ってから3か月以内に、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
判断に迷う場合は、司法書士や弁護士など専門家に相談することもできます。

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相続を放棄したいとき(相続放棄)

故人の遺産に借金などの負債が多い場合、すべての相続を放棄することができます。
相続放棄をすると、遺産を一切受け取らないかわりに、借金などの支払い義務もなくなります。
相続放棄は、原則として「故人が亡くなったことを知ってから3か月以内」に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。遺産の内容がわからない場合でも、期限があるため注意が必要です。
「借金があるかもしれない」「相続に関わりたくない」と感じたときは、早めに検討しましょう。

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相続を限定的に相続したいとき(限定承認)

遺産の内容がはっきりせず、借金があるかどうか分からない場合は、「限定承認」という方法があります。
限定承認とは、受け取った遺産の範囲内で借金などの支払いを行う制度です。遺産を超える借金を背負わなくてすむ仕組みです。
限定承認は、「故人が亡くなったことを知ってから3か月以内」に、相続人全員が一緒に家庭裁判所で申請する必要があります。
相続放棄と迷った場合や、遺産と借金のどちらが多いか分からないときに検討されることが多い方法です。

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相続する遺産の分け方を決める

遺言書がない場合、相続人同士で誰がどの遺産をどれだけ相続するかを話し合って決める必要があります。これを「遺産分割協議」といい、合意に基づいて遺産を分ける方法は「協議分割」と呼ばれます。
相続の分け方には、主に以下の種類があります: 協議分割:相続人全員の話し合いによって遺産を分ける方法(もっとも一般的) 指定分割:遺言書で分け方が指定されている場合、その内容に従って分ける方法 法定分割:合意ができない場合、法定相続分に従って分ける方法 調停・審判分割:家庭裁判所に申し立てて、調停や審判によって分け方を決める方法
まずは、協議分割を基本として、相続人同士で話し合いを行いましょう。法定相続分を参考にしながら、相続人全員の合意があれば、遺産の分け方は自由に決めることができます。
話し合いが難しい場合や、相続人同士で意見がまとまらないときは、調停や専門家への相談も検討しましょう。

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相続税の申告有無を確認する

もらう遺産の金額が多い場合、「相続税」という税金がかかります。ただし、すべての相続で相続税の申告が必要になるわけではありません。
申告が必要かどうかは、遺産の総額が「基礎控除額」を超えるかどうかで決まります。 基礎控除額とは、「3,000万円+法定相続人の人数×600万円」で計算される非課税枠のことです。
たとえば、法定相続人が2人の場合は、3,000万円+(600万円×2)=4,200万円が基礎控除額となります。遺産の総額がこの金額を超えると、相続税の申告と納付が必要になります。 まずは、預貯金や不動産、有価証券、生命保険金などを含めた遺産の総額を大まかに計算し、基礎控除額を超えていないか確認しましょう。
もし相続税の申告が必要なのに申告や納付をしなかった場合は、延滞税や加算税などのペナルティが発生する可能性があります。
不要だと思って放置してしまうと、後から余計な負担が発生してしまいます。そのため、基礎控除額を超えていないと思われる場合でも、本当に申告が不要かどうかをきちんと確認しておくことが大切です。
控除額の計算や財産の評価に不安がある場合は、税理士に相談することで、申告漏れや過払いを防ぐことができます。

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所得税の申告有無を確認する

故人に所得があった場合、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、所得税の申告(準確定申告)が必要になることがあります。 これは、相続人が代わりに行う手続きで、原則として相続開始を知った日から4か月以内に済ませる必要があります。 準確定申告が必要になるのは、主に次のようなケースです: 故人が個人事業を営んでいた 公的年金等の収入が400万円を超えていた 会社員で医療費控除や住宅ローン控除などを受けていた 不動産収入や副業収入などがあった 確定申告を毎年していた まずは、故人の収入状況や過去の確定申告の履歴、年末調整の有無などを確認しましょう。 申告が必要なのに行わなかった場合は、後日追徴課税などのペナルティが発生する可能性もあるため、注意が必要です。
不明な場合は、税務署や税理士に早めに相談すると安心です。

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遺産分割協議書を作成する

遺産を相続する際は、誰がどの遺産を引き継ぐかを、相続人全員で話し合う必要があります。この話し合いを「遺産分割協議」といい、結果をまとめた書類が「遺産分割協議書」です。
この書類は、相続人全員の合意をもとに作成し、それぞれの署名と実印で押印します。 口頭での合意だけでは、後になって「言った・言わない」のトラブルになることもあるため、きちんと書面に残しておくことが大切です。 遺産分割協議書が必要になるのは、主に次のような場合です: 金融機関で相続手続きをするとき 法定相続分と異なる割合で分けるとき 遺産を2人以上で分けるとき 相続人が1人だけの場合や、法定相続分どおりに分けて、金融機関が協議書を求めない場合は、作成が不要になることもあります。 書式に決まりはありませんが、内容に不備があると手続きが進められない場合があるため、「誰が」「どの遺産」を取得するのかを具体的に記載し、相続人全員の名前・住所・印影をそろえて作成します。 また、不動産の有無や分割方法によって、協議書の書き方が変わることがあります。あなたのケースに合った協議書の見本を参考にしたい方は、以下より見本をダウンロードできます。
遺産分割協議書の見本をダウンロードする▶ 基本的には自分で作成することが可能ですが、作成に不安がある場合は、行政書士に相談すると安心です。

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金融機関で「名義変更」を行う

故人が所有していた銀行口座や株などの名義変更が必要です。
相続人が対応できる手続きや、代理人では対応できない手続きもあるため、しっかり準備してスムーズに終わらせましょう。

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金融機関以外で名義変更や解約が必要なもの

自動車・バイク等の名義を変更する

故人が所有していた自動車やバイクを相続する場合は、名義変更または廃車の手続きが必要です。
運輸支局や軽自動車検査協会など、車種や地域によって手続き先が異なるため、事前に確認しておきましょう。
手続きの際には「相続人全員の同意を確認できる書類(遺産分割協議書)」や、「車検証」などが必要になります。
また、自動車やバイクの種類によって手続き先が
異なります。普通自動車は「運輸支局」、軽自動車は「軽自動車検査協会」が窓口となります。事前に行先を確認して、スムーズに手続きを進めましょう。

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公共料金の支払い方法を変更する

電気・ガス・水道などの公共料金の契約が故人名義になっている場合は、契約名義または支払い方法の変更手続きが必要です。
継続して使用する場合は、使用者や支払者を新たに設定し直すことで、引き落とし不能や契約停止を防ぐことができます。
手続きには、検針票や領収書などで契約情報を確認し、各事業者へ連絡して変更届を提出します。解約する場合も、忘れずに手続きを行いましょう。

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携帯電話・インターネットを解約する

故人が契約していた携帯電話やインターネット回線は、使わないままにしておくと基本料金が発生し続けるため、早めの解約手続きが必要です。
手続きには、「契約者が亡くなったことを証明する書類(死亡診断書のコピー、または戸籍謄本)」「本人確認書類」が求められることが多いため、事前に準備しておきましょう。
端末の回収や未払い料金の精算が必要な場合もあるため、契約していた携帯会社やプロバイダーに問い合わせて手順を確認してください。

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運転免許証を返納する

故人が運転免許証を保有していた場合は、死亡後に返納することが望ましいです。
法的な義務はありませんが、免許証は本人確認書類としても使われるため、悪用を防ぐために早めの返納が推奨されています。
返納は、故人の住民票があった地域の運転免許センターや警察署で行え、代理人が手続きすることも可能です。
手続き時は、「死亡の事実がわかる書類(死亡診断書のコピー、または戸籍謄本)」「返納する免許証」「本人確認書類」が必要です。
地域によって手続きの流れや必要書類が異なるため、事前に最寄りの警察署や免許センターへ確認してから訪問しましょう。
手続きを終えたあとは、運転免許証の返納証明書が発行される場合もありますので、念のため保管しておくと安心です。

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税務署で「相続税」を申告する

相続する遺産の金額によっては税務署で相続税の申告が必要です。
対象となる場合、10ヶ月以内に申告と納税を行います。

10ヶ月以内

相続税を申告する

相続税の申告が必要な場合は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出し、納税を行います。
申告書には、遺産の内容や相続人の情報、各人の取得額などを正確に記載する必要があります。
必要な書類をそろえて正確に申告する必要があるため、不明点がある場合は税務署や税理士に相談するのも一つの方法です。

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相続税を納税する

相続税の申告後、期限内に税金を納める必要があります。原則として、現金での一括納付が求められ、相続開始を知った日の翌日から10か月以内に納税しなければなりません。
期限までに納めないと延滞税などが発生することがあります。納税資金の準備が難しい場合は、延納や物納の制度が使えることもあるため、早めに検討・相談しておきましょう。

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よくある質問(相続手続き)

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